当日受験率の驚くべき低さ
社労士試験の実施要領は例年4月上旬に発表され、その後受験申込書の受付が5月末までに行われます。受験申込みを済ませれば、あとは8月下旬の試験日まで全受験生が最後の追い込みにまっしぐら…のはずなのですが、実はそうではありません。
受験者数 42,741人
受験率 80.2%
これは試験センターから公表されている令和5年度試験のデータです。なんと、約5人に1人もの割合で、申込みを済ませながらも本試験を受験していない方がいらっしゃいます。この低い受験率は一体どうしたことなのでしょうか?
(注:受験率は、令和2年度と令和3年度に新型コロナウイルスの感染拡大の影響による一時的な低下が見られましたが、これ以前の年も概ね75~80%の水準に留まっています。)
試験当日に仕事が入ってしまった方、体調不良や交通トラブル等があってやむなく受験できなかった方という方も中にはいらっしゃるでしょう。しかし、そうした不可抗力による未受験者というのは極少数のはずです。
ちなみに、他の士業の国家試験を中心とした直近の試験の受験率は次の通りです。
先に挙げた社労士試験の受験率が高くないものであることが、この比較からもわかります。約5人に1人が棄権するとは普通では理解し難いですよね?ちなみに、資格試験ではありませんが、大学入学共通テストの受験率は92.5%という高さです。
本気で学習している受験生は実は少ない
社労士も含めて、資格試験の当日の受験率が殊の外低い理由ーそれは批判を承知で申し上げるならば、受験資格を満たせば誰でも彼でもが受験している風潮にあるからです。
こと社労士に関して言えば、学習を始める前に試験の難易度や合格後のことなどをよく考えないままに、なんとなく「資格でも取ろうかな…」という軽い気持ちでとりあえず机に向かうという“なんちゃって受験生”が多いことが、この受験率の低さに繋がっています。
受験率が90%超の司法試験では、自らの合格可能性等を十分に熟考してから学習を開始される方が多いと言えますが、こうした受験生の母集団は強力です。
“なんちゃって受験生”は、学習が1科目また1科目と進行する中で、自分が始めたことの重さを知るようになります。そして、年末までに、更に基礎講義が終わるまでに、1人また1人と受験から離脱します。
同様に、受験申込みを済ませた受験生の中からも、その後の学習に限界を感じた方から順にまた離脱が進むことになります。このようにして、この低い受験率の数値が形成されます。
さらには、試験当日に会場で受験する方の中にも”なんちゃって受験生”は多いのです。
ここまでやってきたのだから試験だけは受けないと…という義務感で来られた方、とりあえず過去問を2~3回繰り返せばどうにかなるだろうという意識の下に学習をされてきた方などがそうです。このような方々がその年の試験で合格する可能性はほぼありません。
社労士受験生全体に占める本気の受験生の数は、全体の20%にも満たないというのが私の考えるところです。合格率の低さに不安を感じる必要はありません。”なんちゃって受験生”が多い試験だからこそ、この合格マニュアルを実践するあなたの合格可能性が飛躍的に高まるのですから。
受験者の90%以上が不合格になる国家試験であるからこそ、本気の方には本気で向き合う必要があります。
ビジネス的な激励一辺倒でいい人を演じてもその方の利益にはなりません。
そして、例年の傾向として、受験は続けてもダメ元で…という方が増えてくるわけです。
圧倒された後に、尚立ち向かうという方が少ないこともまた合格率の低い要因です。
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