受験対策に完璧主義を持ち込んではいけない
社労士が隣接法律専門職であることと関係があるかどうかは定かでありませんが、この資格取得を目指す受験生には生真面目な方が多いように思われます。
生真面目な方というのは、無意識のうちに完璧主義的な思考になりがちです。
「資格スクールで配布された(通信で送付されてきた)教材は、全てをこなさなければならない。」
「今の教材とは別に、市販の有名書籍や他校の模擬試験が気になって購入(申込)してしまう。」
「全科目を通して同じ1つのやり方でやらないと、中途半端にこなしている気持ちになる。」
「模試やオプション講座には全て申し込んだ方が合格により近づける気がする。」
このように考える受験生の方は、その持ち前の生真面目さから、自身でやるべき課題を次々と増やしてしまいます。
しかし、その一方で完璧主義型の人は、自分で設定した取り決めが時間的・形式的に守れないことがわかった瞬間から逆に全てを放棄する、または急速にやる気がトーンダウンしてしまうという一面も持ち併せています。
学習時間は有限です。その中でこうした挫折パターンを回避するために必要なことは、まずこの完璧主義を捨て去ることです。
教材数を絞ることによって習熟度を高める
完璧主義を放棄した次は、学習の対象とする教材を必要最低限のものに絞ることです。数多くの教材に取り組むよりも、1教材当たりの学習時間を増やしてその習熟度を高めることの方が合格確率は遥かに高まります。また、学習の進捗状況も把握しやすくなります。
これは当然のことなのですが、資格スクールや出版社は初学者から再受験者までのあらゆる受験生のニーズに対応した商品ラインナップを取り揃えて提供しています。どの商品も非常に購買意欲をそそられる魅力的なものなのですが、このことが受験生にとっては情報過多となっている場合が多いのです。
生真面目な受験生ほど、この情報に鋭くアンテナを張り巡らしているが故に、結果としてこの情報の海の中でもがき苦しんでいます。多くの教材に手を出すことによって、学習の散漫化と消化不良を引き起こしているのです。
受験期間の長期化の要因は、実はこんなところにもあります。
初学者への予想問題集や答練の必要性は低い
では、具体的に学習教材をどのように絞るかですが、以下は初学者の方を念頭に主な教材とその重要度を4段階に分けたものです。
各教材の使い方についてはChapter 3(学習ツールの利用方法)の各項で詳しく説明しますが、その説明の中心になる教材は上のAとBのものです。つまり、CとDの教材については、この『合格マニュアル』では合格するための必携教材ではないという立場をとっています。
資格スクール利用者の方は配布教材の全てに手をつける必要はございません。完璧主義を廃してメリハリのある教材利用を心掛けてください。
良くまとまった図表や横断整理本などは、辞書的に短時間で内容を思い返すには効果的です。
しかし、超直前期に急増するこれを時間をかけて覚え込もうとする学習は、本試験対応の面で難があります。
択一式試験では、虚実入り混じった文章の中から相対比較で正解を選ぶ力が問われます。
文章ありきです。
ある時期に、過去問の正答率が5割を切っているという、初学者や学習時間の短い方がいるとします。
逆に、過去問の正誤を殆ど覚えてしまっているというベテランの方も当然にいるわけです。
両者に共通した「あるべき学習方法」などはありません。
今の自分に不要な教材を捨てることもまた受験対策です。
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