忙しい中で2つの学習を行うには工夫が必要
社労士試験の受験生の多くは、毎日が仕事や家事で忙しい社会人です。社会人が忙しい生活の合間を縫って学習を続け、俗に難関資格と言われる試験の合格者となるために絶対的に必要になるものとは何でしょうか?
それは教材や学習の要領といったツールやテクニックではありません。それ以前にまずは時間です。
「追いかける学習と振り返る学習」の項で述べた、資格スクールの講座進行を追いかける新規科目の学習と既習科目の知識を振り返る学習の両方を、社会人受験生が毎日の生活の中で進めていくことは実に大変なことです。
しかし、これを行わないことには合格がおぼつかないわけですから、どちらかの学習をやらないというわけにはいきません。したがって、学習時間の確保とその時間内で何を行うかを工夫する必要があります。
隙間時間を利用して既習科目の過去問演習を行う
時間のない社会人にとって不可欠なことは、資格試験の世界でよく言われる隙間時間を見つけ出す工夫をして学習時間を増やす努力をすることです。
電車通勤の方の移動時間、外食の際に注文を待っている時間、待ち合わせの時間、テレビ番組のCMの時間、ただなんとなく次の行動に移るまでにボーっとしている時間、など。
机上での学習によらず、出先でスマホを使って学習することも可能な現在では、こうした隙間時間も学習時間に変えることができます。
問題はこの隙間時間の使い方なのですが、1つのやり方として、学習を①机上で行う学習と②隙間時間に行う学習の2つに分けて、それぞれで取り組む内容を変えるという方法があります。
⇒ 現在進行中の新規科目(資格スクールの講座受講、該当範囲の過去問学習、テキスト精読)
② 隙間時間に行う学習
⇒ 既習科目の復習(肢単位・ランダムでの過去問演習、テキスト速読)
ポイントは隙間時間を既習科目の復習に充てるということです。
隙間時間には短時間でも学習成果の見えやすい過去問演習が特に有効です。過去問はスマホの専用アプリやホームページを利用しても学習することができます。ここでの過去問演習を行う際に注意していただきたい点は、
★ 解く順番をランダムに行うこと
の2点です。本試験で要求されるスピーディーに問題を解いていく力は、一朝一夕では身に付きません。この訓練を、CMの間に5肢をこなすなどの目標を立てて日頃から行います。
そして、ここで解く問題は過去問題集の目次を参考に、例えば各章の先頭の問題から順に1肢ずつを選ぶなどします。こうすることで、既習科目全体の復習を早期に1回転させることができます。
Chapter 1の「基礎学習期にも記憶の保守点検を行う」の項で述べたように、ここで行う復習の目的はあくまでも記憶の忘却の防止にありますから、復習は完全なものでなくて構いません。
したがって、こうした細切れ時間のみ、飛び飛びの問題のみでの学習にも効果があります。時間的に余裕のある方は、ここにテキスト速読を加えるとベストでしょう。
この学習方法は1つの例です。これを叩き台として、より自身にフィットする方法をアレンジしてみてください。私が主宰している社労士受験メンバーズクラブ「HIGH HOPES」でも、こうした方法のアドバイスを行っています。
学習時間の最大化を図る上で大切なことは、なんとなく過ぎる時間をなくすことです。
学習に飽きてくる、眠くなってくる。
こんなときは、学習の合間に数分間だけ他のことをする時間を挟みます。
歯を磨く、郵便物を開く、洗濯機を回す、花に水をやるなど。
スマホは学習をした後にした方が賢明でしょう。
①1つ1つに丁寧に取り組む
→できる範囲まで進める
②進める範囲を先に決める
→大枠のみを押さえる
長い基礎学習期は①中心の学習
発展学習期からは②中心の学習で、①は補完的に。
本試験では時間的余裕を持って納得づくで解答が進むということがありません。
進度重視学習でこの状態に慣れましょう。
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