学習法は時間・分量・費用対効果の点から判断する
世の中にはいわゆる勉強法に関する書籍というものが多く存在しますが、こうした書籍で挙げられることの多い学習方法は社労士試験対策においても有効なのでしょうか?ここでは3つの学習方法について考えたいと思います。
暗記事項の多い社労士試験において、多くの受験生に用いられている学習方法です。
障害補償年金第1級~第3級の年金額の日数「再三無難な不二子」のようにゴロそのものに日本語としての意味があるものもあれば、遺族補償年金の受給資格者「ハイシフソンソケイ」のように日本語としての意味はなく、語感の響きで覚えるようなものもあります。
こうしたゴロ合わせは非常に多くの数があり、暗記用の書籍まで刊行されています。また、資格スクールの講師にもゴロ合わせを多用される方は結構いらっしゃいます。
ゴロ合わせは社労士試験においても有効な暗記手段ではありますが、1つ注意していただきたい点があります。それは、ゴロを覚えるときには、必ず何のゴロであるかを併せて覚えるということです。
「ぎょうさん飼育を試みる」って何のゴロだったかな?などと、多すぎるゴロ合わせの中でフレーズとしての面白さだけが頭に残っているというのでは覚える意味がありません。
私自身は、理解中心の学習を進めていく中でどうしてもその理解が困難な部分や、ゴロの意味と併せた暗記フレーズが秀逸なものに限って、ゴロ合わせで覚えるということを推奨しています。
これも社労士試験に限らず、多くの受験と名の付く学習で行われる方法です。
結論から先に申せば、私はこの方法を受験生には勧めていません。重要点をまとめたものには、既にプロである資格スクール等の受験機関が作成した″穴のない”横断整理本などがあるからです。
苦手な点や間違えた問題を整理するという趣旨であるならば、手持ちのテキストにそれらをわかるようにマーキングする方が時間的にも労力的にも簡易に済みます。
「自分には書いて体で覚える方法が合っている」という方がいらっしゃいますが、それを行うにはこの試験は分量が多すぎます。結局は不完全なものとならざるをえないこの学習方法は、労多くして実りの少ない学習方法と言えます。時間効率の点を考えましょう。
いわゆる五感を使った学習法で、中・高・大学受験などでもその有効性が説かれています。
これは同じ五感を使った学習法でも、②に比べてはるかに効果的です。何と言っても、書くと読むとでは学習にかかる時間がまるで違います。社労士試験では特に目的条文など長い条文のキーワードの把握、何度覚えてもすぐに忘れてしまう単純暗記事項の学習などに適しています。
現在ではスマホの録音アプリなどを使って外出先での空き時間に学習することもかなり容易になりました。全てを声に出して読む必要はありませんが、耳に馴染ませるこの体感学習をぜひ積極的に取り入れてみてください。
なお、この学習方法については「講師になったつもりで説明してみる」の項もご参照ください。
学習方法の選択に当たっては、一般的な通説や個人の好き嫌いによるのではなく、社労士試験の性格と費用対効果を考えてこれを行うことが大切です。ここに挙げられていない学習法についても、同様の視点で考えてみてください。
学習対象は、結果として出題されない可能性の方が高いものの、出題されても文句は言えないというものの総体です。
この学習法の全てを否定することはしませんが、社労士受験対策では対象を絞り込んで行うことが時間効率的に見て大切です。
であれば、1度書くのにかかる時間を、間を置いて3回読むことに振り分ければ、より高い効果が得られると思います。
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