受験対策で大切なことは自分なりの理由付けをすること
社労士試験で合格点を取るためには、極めて膨大な事項を暗記している必要があります。そして、この暗記に殆ど全ての受験生が苦戦しています。
暗記のための方法として、棒暗記の他にゴロ合わせを用いた暗記や理解型学習を進めることなどがありますが、ここではまた別の方法をお勧めしたいと思います。
それは、暗記対象に「自分なりの理由付け」をして納得するという方法です。
例として、労働基準法の専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の対象業務の違いを覚える場合で、この理由付けを行ってみましょう。この違いは、平成28年度の選択式試験の空欄Cでも問われた点です。
② 使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして…定める業務
どちらが専門業務型でどちらが企画業務型であるかについては、次のように考えます。
企画業務型 → 創造性が高いために、上司はあえて創造性豊かな部下に任せておく → ①
このように考えておけば、棒暗記で覚えるよりも長く記憶の中に留まってくれそうだと思いませんか?
本当にそうした理由で条文の表現に違いがあるのか?と疑問に思われるかもしれませんが、このイメージはあくまでも暗記する上でのコツですから、実際の理由がどうかは問題になりません。
学問や実務をすることと違って、受験対策で大切なことは、こうした点で悩まずに割り切って先に進めるということです。暗記のための解釈では、学問的な疑義があっても、実際の理由や意味と異なっていても構いません。
自分の中でのストーリー作り。このこじつけ力を磨くことが、単純暗記の量を減らす方法です。私は講義でよくこうしたこじつけを紹介していますが、この手法によると暗記対象をそう簡単には忘れません。
理解が大事か?暗記が大事か?という点について
もう1つ、協会けんぽと日本年金機構の設立年はどちらが先であるかを覚える場合で考えましょう。協会けんぽは平成20年、日本年金機構は平成22年の設立です。
資格スクールの社労士講座では、一般的に健康保険法を学習した後に年金科目を学習します。ですから、協会けんぽと日本年金機構も健保→年金の順に設立されたと考えれば忘れませんよね?
このようなこじつけ学習を日頃から実践すると、自分なりの解釈から記憶に長く留まる暗記へと知識を昇華することができます。
こじつけ学習は棒暗記ではありませんし、学習対象と関係のない事項と結びつけたゴロ暗記とも違います。解釈が自分なりのものであるという点で理解型学習とも違います。
こじつけ学習は、いわば理屈による暗記学習と言えます。社労士試験ではこうした学習方法をとる方が少ないようです。
理解か暗記かの2択ではなく、その間にある理屈づけ暗記。この学習方法が、学習範囲の膨大な社労士試験での暗記の大変さをかなり軽減してくれます。
そして、1度理屈をもって納得した知識はそう簡単には忘れません。試験会場でも容易に頭の中から引き出すことのできる知識になります。
学習内容の正確な理解には時間がかかりますし、言葉の掛け合わせを重視した暗記には限界があります。合格するためには要領があります。こじつけ学習は理解と暗記のベストミックスと言えるでしょう。
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