うろ覚えの知識を正確な記憶に変えるために
試験の行われる8月に入ってからの学習をどのように進めていくか?このことが重要であることは言うまでもありませんが、その具体的な方法については多くの受験生が迷うところです。
Chapter 1の「8月の学習戦略は○○から定まる」では、
② 何を学習するにしてもまず第1に行うべきことは、この期間内で学習に充てられる時間を概算で算出すること
を述べました。ここでは、学習内容を決定する上での基本方針とするべきことについて述べます。
学習内容については、②で算出した残り学習時間からの逆算思考によって、今行うべき(行うことの可能な)ことを考えていくことになります。
コンセプトは、もっぱら既存の教材でうろ覚えの知識を正確な記憶に変えていくことに尽きます。
超直前期の学習において最も意識すべきことは、 「これだけはもう1度確認・暗記をしておかないと、このまま試験日を迎えて仮に出題された場合には、絶対にうろ覚えになっていて対処できない。」という事項に最後の最後に集中的に触れることです。
したがって、8月の学習の基本方針は、試験の前日から当日にかけて暗記すべきことを抽出してリストアップしておくこととするのが効果的です。この抽出過程がそのまま学習内容になるというイメージです。
ただし、このリストアップ作業を、試験の対象となりうる全項目が記載されたテキストの通読や過去問の解き直しから行うことは、残された時間を考えればほぼ不可能です。
ですので、各科目の教材は一定の網羅性のある極力コンパクトな内容のものに絞ります。テキストはあくまでも確認用として補完的に使います。
模擬試験を基にリストアップを行うことが効果的
既に自身で「試験日までにはこれをやる」というもの(例:何回も間違えた過去問のみの見直し)を決めておられる方は、その学習を通じて上のリストアップ作業を進めていくのが良いでしょう。
何をやったら良いのかわからないという方は、模擬試験を受験された方であれば、この模試教材を学習対象にするということが1つの有効な手段になります。これを使って、
⇒ 解説を読んで気になった点だけをテキストで確認する
というやり方で復習を行います。解説を読む過程で、もう2度とその知識について触れないでいても本試験日までに覚えていられるという自信のあるものについては特に何もしません。
しかし、読んで気になる点、特に本試験の日に覚えていられる自信がないというものについては、その項目のみをリストアップして紙に書き出しておきます(例:厚年テキストP168④ア)。
このようにして、超短期記憶にならざるを得ない暗記モノの知識を、試験前日に無理やりに頭に詰め込むべき知識としてリストアップしておくのです。
模試だけをこのリストアップ元としては本試験日までにまだ時間があるという場合には、この対象を科目別の答練や何度も間違える過去問などへと広げていけば良いでしょう。
超直前期の学習教材に模試を用いることの有効性については「模擬試験教材を学習の主軸に据える」で、リストアップの具体的な方法についてはChapter 3の「超直前期における模擬試験教材の使い方㊦」でも述べたいと思います。
最終局面では、もうこれ以上は頭の中に詰め込めないというほどの大量の知識を詰め直しましょう。
無力感すらも漂う無味乾燥な単純作業ですが、消失している知識は引き出すことができません。
試験が終わったら全部こぼしても構いません。
両手で蓋をし、傾けないようにして試験会場まで運びましょう。
本試験では時折「何これ?」という問題(肢)が出題されることがあります。
ここでの「何これ?」とは、裏読みしたくなる程の単純な記述のことです。
学習過程では模試の復習をピークに、細かな知識、難解な知識へと意識が向かいがちです。
「何これ?」という知識での失点ゼロに意識を向けましょう。
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