過去問を解こうとしないでただ読むこと
資格試験と名の付くものの学習において、過去問学習は絶対に外すことのできないものです。社労士試験の対策スクールでは、基礎講義のテキストと同時に過去問題集が配本されます。そして、「過去問を〇回は解くようにしてください」という指導がなされます。
その過去問を学習する際の最初期のやり方について、ここでは述べます。このやり方は、初学者の方だけではなく、基礎的な力が十分でない受験経験者にとっても有意義なものです。
その結論ですが、学習の最初期は、講義を聞いた後に過去問をすぐに読むようにしてください。この段階では無理に問題を解こうとする必要はありません。問題と解答を続けて読むということが大切です。
講義で学んだ内容やテキストのどの部分がよく出題されているのか?どのような形で問われているのか?このことを知ることが、基礎講義を受講した直後における過去問学習の目的です。
解ける・解けないといったことや理解度などは、この段階では何も考える必要がありません。これらは時の経過とその間の復習の状況等によって、いくらでも変化するものだからです。これらは、試験の直前に高い出来であることだけに意味があります。
最初の段階では、過去問題集はQ&A形式で書かれたテキストの一部であって、講義とセットで読み進めるものという認識を持っておきましょう。
過去問を解くということのハードルを下げて、テキストの何が出題されているのかだけを読んで知っておくこと。このことによって、将来的に何を覚えておかなければいけないのかの範囲が把握できます。
例えば、労働基準法では労働条件の明示事項からかなりの出題があることがわかりますが、それらの問題に正解できるようになることが目的になってはいけません。それだけでは、次の試験で過去問のない他の明示事項から出題されたときに対処ができないからです。
ここでは、将来の課題を定めること。今の例では、何が明示事項であるのかと、その明示が絶対的なものであるのか否かを判断できるようになることが課題です。
最終的に暗記すべき事項の範囲と深さを既定するために、最初は過去問を読むのです。
読む=答えを見る=悪いという既成概念をなくす
このChapterの「誤解されている過去問学習の意義」では、過去問を解く回数について述べています。また、「過去問学習は未来問を考える発想で」では、受験対策全体を通じての過去問の学習の仕方について述べています。
過去問を通して既定した要学習事項の理解と暗記は、最終的には、より汎用性のある記述のなされたテキストの中で行うことになるというのが、あるべき受験対策の姿です。
過去問の情報が書き込まれて集約化されたテキストを繰り返し読むことによって、理解と暗記は体験的・視覚的に自然な形で進みます。(⇒参照:「情報の一元化を行うべき理由とその効果」
この段階を目指す以上、その中途の過程で過去問を自力で解くことに拘る必要はありません。最初から解答・解説を読むことに対して、考えないで見るという悪いことをしている感覚など持つ必要はないのです。
学習最初期の過去問学習では、「知ること」を主として「解くこと」に拘らない。子どもの頃からの学習習慣の常識の中で凝り固まることなく、もっと自由な発想で過去問というものに接しましょう。
« 学習ツールの利用方法に戻る