過去問を解く目的から必要な年数が決まる
「過去問は何年分をやれば良いのだろうか?」という疑問は、多くの受験生が1度は感じるところです。肢別の過去問題集の場合、市販の書籍では収録年数が7年分や10年分というものが一般的ですが、資格スクールによっては講座生向けに20年分の問題を収録しているものまであります。
「7年分では足りないのではないか?」「10年以上前の問題からの再出題の可能性を考えると10年分では不安」などと考えることは自然なことでしょう。
こうした疑問や不安については、過去問を学習することの目的が正しく理解できていれば、そう多くの年数分の問題は必要ないという考えに立つことができます。
(→「誤解されている過去問学習の意義」「再出題率に応じた過去問への取り組み方」を参照)
即ち、過去問のリピート出題率の低い現在の試験においては、合格点を確保する上で過去問に的中を期待するべきではなく、そのために多くの年数を遡って問題を解いても効果的ではないという判断です。
また、多くの年数分の過去問を解くにはそれだけ多くの時間がかかることからも、この学習方法は費用対効果が悪いと言えます。
多くの過去問を解いても出題パターンは網羅できない
「テキストを読んでも頭に入らないので、過去問の他に予想問題集や模擬試験などの問題を多くこなすことで、本試験での出題パターンに対応できるようにはならないか?」
このように考えたことはないでしょうか。しかし、これもまた本試験問題での的中を期待する学習法と言えます。問題はいくらでも作りようがあることから、数多くの問題に当たっても出題パターンを完全網羅することは無理なのです。
例えば、次のような条文があったとします。
この条文から問題の選択肢を作るには、実にいろいろなパターンが考えられます。
1つの条文だけで一例としてもこれだけある出題のバリエーションを全科目の全範囲に広げて考えると、演習問題の数によって出題パターンを網羅しようというのは不可能な試みであると実感できると思います。
素材としての過去問は今あるもので十分
過去問を解く上で意識するべきことは、出題パターンを体得することではありません。出題実績のある条文・判例等をテキストで確認することによって、今後も出題の論点となりうるポイントを理解することです。論点となるポイントは、テキストでは太字や色字になっています。
過去10~20年以上も遡って出題実績を確認しその論点を把握することは、受験のプロである資格スクール等が既に行っています。テキストへの掲載・未掲載の別、太字化、色字化は、その膨大な過去問の分析結果なのです。
であれば、受験生としては頻出項目と出題パターンを知るためだけに、過去問にそう多くの年数を当たる必要はありません。結論としては、一般的な過去問題集の7年分や10年分で充分です。年数よりもこれをテキストでどう活かすのかが大切になります。
・この肢はわからないままでも正解ができた問題だった
・過去未出題の通達がここで初めて出題された
・この肢を含む問題自体を捨て問にしても、合格点の確保には影響がなかった
肢別過去問題集での学習ではわからないことがこのような事情です。
過去問を大問単位で見ての受験指導が望まれるところです。
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