今年の試験に間に合うのか?という質問
「今から学習を始めて今年の試験に間に合うものでしょうか?」
資格スクールが資格取得希望者に対して行う受験相談の場において、この質問はおそらく年間を通じて最も多いものの1つです。その質問に他意はありません。
★ 学習しなければならない分量・時間がどれほどのものであるのか?
★ 自分に理解できるような学習内容なのか?
こうした情報が一切ない中で、浮かぶ疑問を尋ねる純粋な質問です。
この質問、実は学習開始前の方だけが疑問に思うことではありません。これまでに受験経験があり、試験の全容をある程度把握している学習経験者の方も、年明け頃から日々自問自答していることがこのことだったりします。
「このまま今の感じで学習を進めて今年の試験に間に合うのだろうか?」
こう考える受験生の、1月~3月頃に多い姿とは次のようなものです。
★ 自分の中で整理できたものと思っていた知識が、いつの間にか不明瞭なものになっている
★ 過去問をやれば間違いが多く目につく。
★ 今後やらなければならないことのリストが徐々に増えていく一方で、それをこなす時間までも増やすことはできない(=学習時間が圧倒的に不足している)
誰もが突入する感情のループゾーン、そこで?
学習した科目が5科目を超えたあたり、まだ未修の科目を半分も残しているという冬の時期になって、自身のキャパオーバーを実感した方は、受験への不安感から次のような思いに行き当たります。
この①→②→③のループを延々と繰り返しています。
この気持ちの変遷は試験日当日まで繰り返し続くものです。そして、この不安感はどれだけ学習時間を積んでも、どれだけ受験回数を重ねても、決して解消されることはありません。
合格者の誰しもが、学習に不完全燃焼感を持って本試験当日を迎えているのが社労士試験であると認識しておきましょう。
人によって対応が分かれるのは、この感情のループゾーンに差し掛かったときです。
ある人は「今年はもう無理」と考えた時点で合格目標年度を1年先に延ばし、今年の試験は経験を積むためのものと割り切って、学習の速度を弱めます。
またある人は「これでいいのかな?」という迷いから、様々な新規の試みや過剰な試みを自身に課し、焦りから気持ちが上滑りした地に足の着いていない学習を続けます。
このときに「絶対になんとかしてみせる!」という強い気持ちを持って、コツコツと毎日の学習を継続するというシンプルなことをやり続けることが実は1番苦しいのです。
10回忘れたら11回目の覚え直しをする。同じことを10回も忘れてしまう自分の非力さに真正面から向き合い、それでもなお同じことをやり直すという一番大変なルートを選ぼうとする方が合格得点圏内に入ります。合格得点圏にいる受験生というのは、8月の時点では全体の20%程度でしょう。
感情のループゾーンに突入した時期から進路は大きく分かれます。
現在の不安感が強い方ほど合格に近い位置にいるということを知っておきましょう。
ただし、不安感に押し潰されて悲観的になること、実行力が鈍ることは、自らを合格から遠ざけることとなります。
精神的には良くありませんが、不安を抱えたまま継続した方が合格します。
これは合格して初めてわかります。
スランプのときは合格体験記を書いている自分を想像してみましょう。
そこに書かれている内容-取り組んだ教材・講座・学習方法、学習上の困難、精神的な葛藤など-は、全て合格に繋がったものとして昇華されています。
現在の混沌状態は、あなたの合格体験記をドラマティックに彩る壮大な演出です。
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