学習を阻害されない心の強さを持つことが必要
Chapter 2の「学習阻害要因が生じたときの対処法」では、受験準備を進めていく上での障害となる仕事や私生活の面での諸問題が生じた場合に、学習計画をどのようにしていくかについて述べました。
しかし、基礎学習期から発展学習期に入り試験日までの残り時間が少なくなる中で、いつまでもこうした場合の対処法が、学習計画を工夫することで凌ぐことというわけにもいきません。
問題が生じたとまではいかないにせよ、日常生活で起こる悲喜こもごもの種々の事象に対して、それを引きずることなく1日2時間などと学習時間を決めてコンスタントに日課をこなしていくことが、4月以降の時期には特に重要になります。
「職場や私生活での人間関係の中に心を揺り動かされるような大きな出来事があったとしても、それはそれとして対処する傍らで、学習は切り離して継続できるか?」
目標を達成するためには、やはりある程度の心の強さを持たなければなりません。
学習阻害要因にも泰然自若で
私達が普段過ごす日常の中では、それが即学習阻害要因となりうるような様々な人間性の負の部分を目にします。そうしたものに接したとき、私達は現在の自分が志向しているものがまるで意味のないものに思えてしまい、そこで歩みを止めてしまいがちです。嫌になってしまうというわけです。
例えば、仕事上で接する機会のあった不合理な現実を正すことや、理不尽な言動にノーの意思表示をすることが性格的に難しいという人は多いでしょう。このことのモヤモヤ感が学習阻害要因となって学習を遅滞させることになります。
しかし、数か月後の試験での合格を目指す上では、ここで何があっても動じることのない、事が起きる前と同じ日常をこれまで通りにこなすという心根の強さが必要になります。どんなに腹の立つことや落ち込む出来事があったとしても、学習を泰然自若として継続するという強さです。
学習阻害要因となるあらゆる事象に対し、決して揺らぐことなく当たり前の日常を当たり前に過ごす。
このことは確かに難しいことですが、自分を学習に向かわせるに十分なキラーセンテンスを見つけ、それを心の中で唱えて自己学習を中断しないという努力が必要になります。センテンスは「早く試験に受かってこんな会社は辞めてやる」などといったものでもOKです。
他人軸ではなく自分軸をしっかりと持つ
泰然自若でいることが大切なのは、何も学習阻害要因に対してだけではありません。この時期になると、受験生の中には他の受験生の動向が気になって仕方がないという方が多くなります。
一例を挙げるならば、資格スクールの定例試験の点数、使用している教材、週の合計学習時間、申し込み予定の講座や模擬試験、受験生同士で交わされている会話、等々です。
社労士試験は相対的な評価が為される試験ですので、他者との比較における自身の位置づけが気になることには一定の理解ができますが、そのことで自分が揺らぐことは好ましいことではありません。
本試験では他人がどうであれ、自分自身が約65%の得点ができれば合格できることはハッキリとしています。泰然自若の構えで自分軸をしっかりと持ち、他人とではなく昨日の自分との比較をするようにしましょう。
困難に直面したときや、焦りを感じたとき。
人は面白いほどに、その人に特有の同じ行動パターン、同じ思考様式を辿ります。
これは資格試験においても同様です。
過去の苦い経験や失敗に至った行動・思考の流れにまた乗っていないか?
忘れたい過去や自分の嫌な部分を超克した先に合格があります。
今のあなたの努力を嘲り笑う人や能力を妬む人、境遇を羨む人、試みを抑止する人。
大衆迎合主義的な中庸を良しとするこうした周囲の人に、あなたは影響されてはいけません。
また、社会人ながらも資格の学習に励む超少数派のあなたは、こうした人になってはいけません。
これは受験生としての矜恃です。
« 発展学習期のマインドセットに戻る