合格に必要な学習とはどのようなものか?
本試験を1度以上受験された経験のある方が学習を再開するに当たっては、これから学習する内容の全体像を既に把握できているということが、1つの大きなアドバンテージになります。
この全体像のイメージを持って「今度こそは合格を!」と意気込んで学習を始めるわけですが、この学習再開時において最も大切なことは、次の試験に合格するために何が必要になるのか?を受験の経験者としての視点から正しく見積もるということです。
それでは、その見積もりを行う上での
10年分の過去問題集をテキスト読みと並行して全科目で5回転させることでしょうか?
模擬試験については、2校で3~4回程度の受験が妥当な回数なのでしょうか?
こうした学習の内容そのものが各受験生によってバラバラであることは、至極当然のことです。
これは、学習を再開した時点での得点力や置かれている学習環境などが、個々の受験生によって異なるものであるからです。
しかし、その違いによっても、合格するために必要な学習を見積もるための最終到達点、言い換えれば、何を学習すれば合格できるのか?の範囲的な広さや深さの基準。
これについては、全ての受験生で共通のものとなっていなければ、せっかくの再学習もうまくはいかないこととなってしまいます。
本試験問題の検証によって学習すべき内容が定まる
再受験者の方に多く見られるのは、試験直後に感じた反省からの恣意的な判断で、次に合格するために必要な学習の内容を決めてしまうことです。
「もっと早くから学習しなければいけなかったな。」
「今年は問題演習がとにかく不足していた。」
このような反省から、何を学習すれば合格できるのか?の範囲的な広さや深さの基準を測ることもなく、とにかく一生懸命に頑張ることを目標に学習計画を立てる方が非常に多くいらっしゃいます。
しかしこれでは、最終到達点とするべき合格レベルの基準から見た場合に、そこに大きな学習の不足や方向性のズレ、または過剰なムダが生じてしまいます。
合格するために必要な学習がどのようなものであるかは、反省や後悔などといった情緒的な振り返りによって決まるものではありません。
この内容は、自身が受験した試験問題の内容から客観的・必然的に決まってくるものです。
再受験者の方は、学習を再開された初期のうち(今年受験した本試験問題の解答解説集が出揃ってからで結構です)に、まずは「何を学習してどのような知識があれば、又はどのような現場判断を行えば、今年の本試験で何点の得点を取ることができたのか?」という問題検証を行ってみてください。
この問題検証によって、何を学習すれば合格できるのか?の範囲的な広さや深さの基準と現在の自分自身の実力との間の差異を把握することできることが、受験経験者としてのアドバンテージになります。
そして、この検証があって初めて、合格までの不足分を埋め合わせるための具体的な学習目標が定まります。
基礎学習期の初期の時点で既に一通りの学習を終えている再学習者の方は、まずは本試験問題の検証から始めましょう。
合格するために必要となる要素が、知識面にあるのか?方法論にあるのか?現場判断にあるのか?
こうした点を時間をかけてじっくりと考えてみてください。
本試験問題を検証することによって、これまでの学習方法の振り返りと今後の自分に必要な要素の発見ができます。
不足していたのは過去問演習?テキスト読み?初見の問題訓練?判断力?スピード?
不明点に拘って学習した内容は出題された?
ゴロ暗記に意味はあった?
こうした点を検証してみましょう。
択一式試験での失点1つにも
①初出事項の知識がなかった
②既出事項の正誤判断を誤った
③読み違えやマークミスがあった
などの類型があります。
過去問題集が刊行される前に本試験の復習をするならば、②③の誤りがなければ得点が可能な問題であったか?合格点が見込めたか?を検証することです。
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