出題数と科目の特徴
雇用保険法(以下「雇用」と呼びます)は選択式試験で1問、択一式試験で7問が出題されます。また、労働保険徴収法の択一式試験も3問分は雇用の範囲からの出題です。
この科目の特徴を一言で言えば、とにもかくにも暗記事項が多いことに尽きるでしょう。
社労士試験で暗記事項が少ない科目というものはないと言って良いのですが、とりわけこの雇用という科目においては多くの数値が登場し、試験ではそれらの正確な知識が要求されます。また、多分に手続的で細かな事項を問う問題も多いです。
他の科目では多少知識がおぼろげであっても、選択肢間の比較や消去法で解答が可能な問題が多々あります。もちろん、雇用にもそうした問題はあるのですが、この科目の問題には「ある事項を暗記していなければ、その時点で解答することが不可能」というものが他の科目に比べて多いのです。
一例を挙げてみます。
★ 「就職促進給付とは○○手当と○○費と○○費を併せたものである」など、超短文の問題文で給付の体系と名称を問うもの
★ 「25年勤めて解雇された55歳の者の基本手当の受給期間は○日である」など、一定の項目を暗記していることを前提に具体的事例から正誤を判断させるもの
過去問を見てみますと、こうした問題に溢れていることがすぐにわかります。そもそも暗記をしていないことにはどうにもならない問題が多いというのがこの科目の特徴です。これはある意味で、内容が高度であるということ以上に厄介な”難しさ”です。
一定量の暗記が不可避の科目に立ち向かう
試験日当日にこれらの事項を正確に暗記しているためには、この科目の学習開始日から試験日までの間、毎日少しづつでも触れるということが大切です。次の科目の学習に移った後は、直前期まで雇用は学習しないということでは、いつまで経っても問題が解けるようにはなりません。
毎日2~3ページずつで結構ですので、テキスト読みを毎日のルーティーンとして組み込みましょう(例:風呂上がりのボーっとしている時間を充てる、寝る前の歯磨きをした後に続けて読むことをセットにして習慣化する、など)。
自分は暗記が苦手で…などと言っていても仕方がありません。そもそも、暗記が得意な人などは殆どいません。10回やったことを10回忘れるのは当然のことですから、問題はそこで11回目の暗記をしようと取り組んだかどうかです。
テキストに何十回と目を通している講師の私も、間隔が空きすぎると細かい数値などの記憶が怪しくなる代表的な科目がこの雇用です。ここは腰を据えて、しっかりと中長期計画で学習していただきたいと思います。
また、雑多な暗記事項を無味乾燥に続けることには限界がありますので、この単純暗記を減らす工夫をぜひ行ってみましょう。例えば、語呂合わせなどは1つの有効な手段です。
私は講義内ではこの暗記を努めて減らすために理解重視の説明をしていますが、独学者の方も自分なりの理由付けをして理解するということをやってみてください。
就職促進給付や雇用継続給付の各給付、一般・高年齢・短期・日雇の各給付などは、横の比較から相違点を見ていくということも有効です。
この科目の学習では、こうした様々なアレンジを積極的に加えてみてください。
雇用保険法で多く登場する数字の暗記に苦しんでいる方は、一通りの学習をした後は【逆引き】で数字を押さえることが効果的です。
例えば、常用就職支度手当の支給率は?と考えるのではなく、10分の4と覚えるものの個数を調べておいて、そこから常用就職支度手当を思い出すという具合です。
科目横断整理にも有効です。
「資格取得の学習に励んでいた会社員が、親の介護休業を経て一旦復職後に離職し、その後早期に再就職した。」
この短文の中には求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の全てが含まれています。
失業等給付の体系はこのストーリーを軸に、場合分けで広げて考えていくと覚えやすいです。
« 時期別/科目別学習戦略に戻る