出題数と科目の特徴
健康保険法(以下「健保」と呼びます)は選択式試験で1問、択一式試験で10問が出題されます。この健保と国民年金法(以下は「国年」)、厚生年金保険法(以下は「厚年」)の3科目が、択一式の10問出題科目です。
配点比重が択一式の30/70、選択式の15/40を占めるこの社会保険3科目の攻略こそが、社労士試験合格のカギになります。
令和時代に入ってからの択一式試験でも難解な問題が目につきますが、ここで大崩れすることなく、健保・国年・厚年の3科目で無難に得点をまとめ上げた方が、総合得点でも合格圏内にあるという結果に繋がっています。
この3科目の中では、多くの方が健保を最初に学習されるかと思いますが、学習内容に関するポイント以前に注意していただきたい点がございます。
資格スクール等の受験機関が編纂するテキストとは、過去問の集積を体系的にまとめあげたものと言えます。従って、出題数の多い健保は、テキスト・過去問集共に非常にボリューム感のあるものになります。
労働法の学習から始まって数か月にもわたる学習に新鮮味もなくなり、嫌気や疲れを感じているところにきてのこの圧倒的なボリューム感。この大変重要な科目の学習を、惰性でテンションの低い状態のままに進める方が多いのです。
健保では、テキストの隅々までの非常に広い範囲から満遍なく出題がされます。知識を習得するには学習開始当初以上の向学意欲を持って臨むことが必要です。まずは、この点を意識しましょう。
他科目との横断比較を念頭に置いた学習を
内容的には、医療・福祉分野に特有の用語や、細かな規則・通達、複雑な制度(例:高額療養費、保険料の仕組み)などに理解の難しいものが多くあります。また、協会けんぽや健保組合の組織、届出期限など、他科目と同様に単純に暗記すべき項目も多く含まれます。
これらは1度の学習では身につきませんので、テキストと過去問題集の往復によって繰り返し学習する必要があります。
また、他科目との共通部分や類似項目が多いことも健保の大きな特徴です。任意適用、療養の給付、傷病手当金、保険給付の通則と制限、不服申立て…等。挙げれば他にもありますが、これらでは既習の労働科目との横断比較を意識して学習するようにしてください。
そして、健保には適用関係などを中心に、後に学習する厚年との共通(類似)部分が非常に多くあります(国年との間にもそうした部分があります)。この重複部分が多いことは、先に述べたボリューム感からくる心理的負担を軽減させる上でも、ぜひ早くから認識しておいてください。
国年や厚年のテキスト等も同様のボリューム感がありますが、健保の知識を固めておくことで、純粋な新規学習部分は見た目よりも少なくなります。その意味において、健保は他の科目との橋渡しになるターミナル科目です。このことを踏まえて学習を進めましょう。
初めて学習される方は、まずは公的保険の商品ラインナップとも言える各種の保険給付からしっかりと知識を固めていくのが良いでしょう。既習科目の労災保険や雇用保険、後に学習する国民年金や厚生年金でもそうですが、科目の中心を成す保険給付(給付)を最初に押さえます。
とにかくボリュームの大きい科目ですので、途中で挫折しないように、最初は目標を小さく設定する→達成したら次の小目標に移る、といった形で段階的に進めていきましょう。
労基・安衛・労災の3科目では約25%です。
疲れや嫌気、諦めから、社会保険科目の学習の熱量が労働科目よりも低いというのが典型的な失敗パターンです。
ここで火力を上げられる方が合格に近づきます。
労働科目に慣れた頭が社会保険科目に変わると、最初は戸惑いが大きいです。
しかし、社保の考え方に慣れてくると、年金法の学習がスムーズになります。
ここで労働科目の考え方を忘れないよう、復習することを忘れずに。
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