やるべきことをやっている人がそもそも少ない
令和5年度の社労士試験の合格率は6.4%でした。合格率が前年よりも上昇したとはいえ、小中高の40人学級で言えば、クラスで3番の成績でも受からないというのがこの数字の持つ意味です。
だから、この試験に本気で受かりたいという方は、クラスで2番以内になるために必要なことというものを真剣に考える必要があります。では、その上で試験に臨み合格率が一ケタの試験を突破された方とは、結局どのような方なのでしょうか?
一言で言えば、それは「やるべきことをしっかりとやった方の中で、一定の運が味方した方」です。統計的なデータはありませんが、「やるべきことをしっかりとやった方」というのは受験生全体の20%もいないでしょう。
その合格者候補層20%弱の方の中から、出題と得意・苦手分野の相性、まぐれ正解などの運にも恵まれた方が、その年の合格を手にできるといったイメージです。一ケタの合格率というのはそれほどに低い数値です。
これは、裏を返すと約80%強の受験者が、やるべきことを試験日までにやっていないということになります。合格率60%を超える民間団体主催の検定試験を受けるような学習を何年継続してもこの試験には受かりません。
上位一ケタの受験生になるために秘策はありません。合否を度外視したライフワークとして受験をするという方は別ですが、合格を目的とするのであるならばまずはやるべきことをやりましょう。その上での運の要素です。
18歳の大学受験生にこそ学ぶべきものがある
中学受験、高校受験、大学受験、公務員受験、検定受験、資格受験…等。一口に受験と言っても様々なものがありますが、私は社労士試験の受験会場は緊張感に乏しい弛緩した雰囲気にあると常々感じています。
もちろん、これは受験生個人で見た場合の話ではありません。あくまでも場の全体の空気としての印象です。
その理由としては、大学受験や公務員受験などと比較して、受験生の中に人生経験が豊かでこれまでに数々の艱難辛苦を乗り越えてこられたベテラン社会人の方が多いことが挙げられます。
世の中の酸いも甘いも知り尽くした達観層は、毎年実施される資格試験の問題程度では動じません。そもそも試験に不合格となったところで生活が困窮するという訳でもありません。
そうした人としての余裕といいますか深みが、このような穏やかな場の空気を醸成していることは否定できないでしょう。
この空気感は、受験結果によってその後の人生が大きく変わるという岐路に立つ高校生や大学生の放つ、受験への鬼気迫る意気込みがピーンと張り詰めた試験会場のそれとは大きく異なります。
また、この弛緩した場のムードが、「今年も変な問題が出題されてダメだったよね?」という受験者間の”妙な共倒れ連帯意識”を助長しているように感じます。
上位一ケタの受験生を目指す方は、まずこの多数派の空気に馴染んではいけません。本試験には毎年の夏祭りのような恒例行事に参加するような気持ちで臨んではダメなのです。
少数派を目指すのであるならば、高校生や大学生のような“合格へのあくなき執念”を持って受験会場に向かうことが必要です。そうした方こそが、運をも味方につけて合格者となることができるのです。
一ケタの合格率は、合格を目指す受験生にこうした姿勢が必要であることを示しています。
超少数派を目指す人が自分の合格可能性に疑念を持ちながら学習を続けるという、圧倒的多数派の思考様式に染まることには矛盾があります。
自分が合格することはもう決まっているのだと、精神的に今合格しましょう。
学習の熟度が上がるほどに記憶の定着率は自然と上がります。
そして、それが得点力になります。
つまり、年を重ねるごとに記憶力は逆に上がるのです。
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