合格者レベルがわからないから不安になる
広範な試験範囲、膨大な暗記量の社労士試験。
資格スクールで対策講座を受講される方は多くの場合、1科目また1科目と講座が進行する中で科目ごとの確認テストを受けることとなります。また、独学者の方でも科目学習の最後に練習問題をやってみるという方が多いでしょう。
このような演習形式で初見の問題をやってみた場合、感想にはどのようなものが多くなるでしょうか?
自己採点を終えた後に「このままではマズいぞ…」と思われる方が多くなります。また、高得点であった方の中にも、問われている内容のどれもがあやふやな知識であることを自覚して、「こんな状態で本当に受かるのだろうか?」と不安になられる方が多くなります。
試験にまだ合格していないからこそ現在学習をしているわけですので、当然ながら“自分が合格するときの状態”というものがどのようなものであるかがわからない中では、そうした不安を抱くのは当然のことです。
このような未来への不安感を抱かないためには、「合格者というのは試験当日を迎えた段階で、知識レベルはこのくらいの、意識レベルとしてはこんな感じの状態にあるのだ」という最終到達レベルを合格者の姿から予め認識しておくことが非常に重要になります。
この認識によって、学習の目標となる知識の正確さや分量のレベルが明らかになりますし、中途段階での無用な不安感を排除できるわけです。
到達すべきレベルとは思うほどに高いものではない
合格者の方は試験日時点で、テキストに太字で記載のある項目や数値(○日以内など)の殆どを正確に暗記しているのでしょうか?
答えは「ノー」です。合格者とはいってもその殆どの方が、本試験で問われている内容の多くについて、正誤の判断に確証の持てない不確かな状態で問題を解き進めています。
「1は多分×だろう。2は初めて見たので判断がつかない。3は何かが間違っている気がする。残った4と5では、4の方が妥当性が高い気がする…」
というモヤモヤとした気持ちの悪い状態で4をマークするということが、合格者においても試験中に続いているのです。
ですから、試験日の数か月も前に科目別の確認テストを解いてみた受験生が、採点後に「マズい」と思った理由や「こんな状態」と感じた理由が、「まだ完璧に覚えていない」ことにあるのだとするならば、それは合格者でも未到達の領域にあることを反省材料にしていることになります。
この試験の学習では、8月に合格者レベルに達しても、問題が「わかる!わかる!」とスラスラと確信をもって解答できるようにはならないものだと予め認識しておいてください。
合格者と不合格者の違いは、広範で正確な知識の多寡にあります。しかし、合格者は自らがそうした知識を多く有していることに自覚的ではありません。
「多分これが正解だと思うんだけど…」という気持ちの悪い状態の中での選択が高い確度で当たるか否か。実はこの点に大きな違いがあります。
合格者の選択が高い確度で当たるのは、判断に困ったときに頼りにする脳内でのデータベースが、無意識のうちにも一元的・体系的に整理されているからです。そして、その整理はこの合格マニュアルに沿って学習を進めていけば正しく成されます。
合格者レベルとは、全てを暗記していてそれが正確に口を突いて出るというものではないことを知っておいてください。
春先から学習を初めて、まだ全科目の履修の途中で本試験を受験してみるという方の場合、受験自体が経験になることは勿論ですが、ここで学習の量・時間と成果の関係=本試験までの距離感を掴んでおきましょう。
いつから初めてどのくらいの時間でどれだけのことができるか?
この感覚が経験になります。
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