模試を受験することには多くのメリットがある
「資格スクールのオプション講座受講に対する考え方」の項に引き続き、今度は例年6~7月頃に実施される各資格スクールの模擬試験(以下は模試と略)について述べます。
ここではまず、模試を受験することの意味について考えてみます。模試を受験する目的として考えられるものは一般的に次のようなものです。
② 問題を解く順番、マーク記入を含めた解答スピード、初見の問題への対処、休み時間の使い方などを様々に試みることで時間感覚を養う
③ 他の受験生と同じ会場で受験することによって、本試験の雰囲気に慣れる
④ 各スクールが総力を挙げて作成した本試験の予想問題を情報として入手する
⑤ 現時点での自分の実力、受験生全体の中での位置付けを成績データから測る
⑥ 弱点分野を把握し、それを克服するための材料とする
⑦ 充実した解説冊子を元に、全科目を一日で効率的に学習するためのツールとする
他にもあるとは思いますが、これだけを見ても模試を受験することにはそれなりの価値があります。独学者の方であっても模試だけは(自宅受験でも構いませんが)受験することをお勧めします。
では、より多くの経験を積むために模試を多く受験した方が良いのかというと、話は少し異なります。
適切な受験回数は残り学習時間から導き出される
模試の申し込みをする際に最も考慮しなければならない点は、「資格スクールのオプション講座受講に対する考え方」の項で書いたことと同じで、残された学習時間との兼ね合いです。
模試は多くの場合、休日の本試験と同じ時間帯に行われます。社会人受験生にとって、休日はまとまった学習時間のとれる貴重な知識の掻き入れ時ですが、模試の行われる日はこの学習時間の多くを問題を解くという作業に充てることになります。
言うまでもなく、模試は問題を解くだけでは何の実力養成にもなりません。解説冊子を元に復習をして初めて得点力がつきます。この復習を行うのにどれだけの時間・日数がかかるのか?試験日までに休日は残り何日あるのか?ここを考えなければなりません。
1つ1つの模試は、350問の正誤判定形式の問題と40問の空欄補充形式の問題が収録された、新規に取り組む問題集であると考えましょう。他に行うべき通常の学習もある傍らで、ここにどれだけの労力を注ぐことが可能であるかを検討することが肝心です。
この点と上記の①〜⑦で得られる模試受験の効能を全て勘案した上で判断すると、模試は受験母集団の多い大手資格スクールのものを2回程度受験すれば十分であると考えます。
模試に本番での的中を期待して申し込まない
その他、模試を申し込む上では、出題される問題にヤマ当てとしての的中を期待すべきではないことに注意してください。
上記の④にあるように、スクールの側では‟的中”を意識して作問を行いますが、出題される問題は的中する・しない以前にその年の重要事項として大きな意味を持ちます。
したがって、受験生の側では出題のヤマを入手するという感覚ではなく、重要事項を把握するという認識で模試を捉えてください。
自身の合格可能性を、模試の当たる・当たらないに委ねることはナンセンスです。既に手持ちの学習教材を十分に学習すれば、その中のいくらかは必ず当たります。
模試については、以上の点をよく考えて申し込みを行ってください。
・主要な資格スクールの模試問題を集めて学習することで、合格可能性が高まるのでは?
・自分の受験していない模試問題から本試験での的中が出たときに、他の受験生と差をつけられるのでは?
という思いから手を広げる学習方法は危険です。
こうしたことを一切考えず、論じずとも合格できます。
直前講座や模試の申込時期になると、例年「今年は○○が出題されそうだ」などと、まことしやかに囁かれる情報が駆け巡るようになります。
試験センターが公表している事実以外のものには、さしたる根拠がありません。
怪情報に惑わされて、妙な決めつけとヤマ張り学習をしない姿勢が大切です。
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