出題数と科目の特徴
労働安全衛生法(以下「安衛」と呼びます)は選択式試験で1問(労働基準法と併せて配点が5点の出題で、安衛の配点は2点分)、択一式試験で3問が出題されます。
多くの受験生が、その技術的・現場作業的な用語への馴染みのなさから「実感が湧かない」と戸惑いを感じる科目です。また、出題数の少なさに比例して資格スクール等での講義回数も少ないことから、よくわからないままに講義が終了してしまうということが多いのもこの科目です。
また、関係法令の数が非常に膨大な量にのぼり、過去に未出題の非常に些末な知識を問う出題がされてしまうこともこの科目の大きな特徴です。この部分の対策は非常に困難です。であれば、出題数も少ないし、思い切って捨て科目にしてはどうか?となりますが、これはできません。
社労士試験では選択式・択一式の各試験において、科目ごとに最低基準点が設けられます。安衛は労基と合わせての基準点設定です(選択式:3点、択一式:4点)。
安衛での得点が望めないことは、特に選択式での基準点クリアを困難なものにします。判例問題が中心の労基で絶対に3点が取れるという方は殆どいないでしょう。ですので、この選択式での基準点クリアのために安衛は必ず学習する必要があります。
最低ラインの突破のために、割り切りをもって学習を
この厄介な科目に取り組むにあたっては、ある種の割り切りをもって学習を進めていくことが大切です。
全く知らない知識の出題がされることは至極当然と考え、選択式では2点中1点、択一式では3問中1問(2問なら尚良し)の正解を目標に置きます。出題数の少なさを考えれば、費用対効果の面からも深追い学習はマイナスです。
長い時間をかけ、幅広い範囲の網羅性を意識し、多くのオリジナル問題をこなしてもさほど得点に繋がらないというのがこの科目の特徴です。学習はこの目標達成を可能にする限りの範囲に留めるべきで、その目標は過去問を中心とした学習を行うことで十分に達成が可能です。
まずは、過去10年分程度の出題箇所を手元のテキストにマークしてみましょう。一目で超のつく頻出項目と、そうでない項目との色分けができるかと思います。
出題内容は、その年の改正点、総則部分、一般的な安全衛生管理体制、健康管理、事業者の講ずべき措置、などにかなり集中しています。これらの範囲については、過去問そのものが解けるようになることは当然として、テキストの記載内容そのものをしっかりと理解するまで学習することが必要です。
反対に、多くの受験生が学習に嫌気を感じるという機械等、危険物・有害物などからは驚くほどに出題がありませんので、ここに多くの時間を割くべきではありません。
この「時間をかけて学習すべき項目とテキスト通読に留めるべき項目」の判断が、過去問という客観データからつけられます。短時間・集中的な偏重学習こそが、安衛の学習におけるポイントです。
ただし、頻出分野ではない項目だからといって、これを捨ててしまうことは非常に危険です。
安衛では「勧告」「展示」「設計」「指示」など、日常用語としても使う熟語がよく選択式で出題されます。これまでに出題実績がない分野だとして、これを一度も見ていない場合にはこの熟語空欄への対応ができません。
マイナー分野についても、選択式対策を念頭に置いてのテキスト読みを省略しない。この点にも注意してください。
暗記量を減らす1つのコツが、こじつけ力(=真偽の程や学問的な疑義はさておいての自分なりの理解)を磨くことです。
例えば、労働局と監督署では後者の方が数が多い。製造工場と作業現場では後者の方が数が多い。
だから、労働局長→製造時検査、監督署長→設置時検査なのだ!といった具合です。
再受験者の方は学習リスタートの初期から【文章をしっかりと理解しながら読む】ことを意識してください。
これまでに何度も学習した内容だからと「はいはい、これね。」で流し読みしてしまうことでは成長がありません。
過去問の冒頭部分を見ただけで答えがわかってしまう再受験者こそ注意が必要です。
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