年金を苦手にしていては合格は難しい
国民年金法(以下「国年」と呼びます)と厚生年金保険法(以下「厚年」と呼びます)の2科目は、それぞれ選択式試験で1問、択一式試験で10問が出題されます。
配点ウェイトの高いこの年金2科目は、その出来が試験の合否に大きな影響を与える基幹科目です。本試験ではここで大きな失点をしないようにしなければいけません。ところが、受験生の多くの方がこの年金科目を苦手としています(受験生時代の私もそうでした)。
その理由としては、主に次の2点が挙げられるでしょう。
② 学習開始時期が基礎学習期の後期であることが多く、他科目に比べて十分な学習時間が取れないままに試験直前期を迎えてしまう
この2科目はそれぞれ別の法律ではありますが、同じ公的年金に関する法律としての強い連関と共通の特徴があります。ですので、ここでは両科目を合わせて、上記の苦手理由を踏まえた上での学習指針を考えていきます。
難しい=得点できないではない
まず、①の複雑さ、難解さについてですが、ここでは学習内容そのものの難しさは試験での得点のしにくさには繋がらないのだと認識しておいてください。
年金科目を完全に理解することは、合格者でもほとんどの方ができていません。しかし、「よくわかっていないながらも、得点だけはできるようになる」という不思議な特性を持っているのが、この2科目です。
これは、試験の問題として出題されるポイントに定型的で明快なものが多い、という科目の特性によるものです。逆に、初見の判例などからの出題も多い労働科目の方が、わかっているつもりでいても思ったように得点ができないというジレンマに陥りがちです。
基礎的な得点力は、過去10年分の過去問を3回程度繰り返すことによって比較的短期に醸成されますので、この2科目では他科目以上に豊富にある過去問の論点に絞った学習を心掛けてください。
国年と厚年は合わせて1科目と考えて毎日学習する
次に、②の学習開始時期が遅いことによる学習時間の短さの問題です。これについては、理解の難しい部分で立ち止まって学習時間を消費するということを徹底的に廃した、効率学習の工夫が必要になります。
国年→厚年の順で学習をされる方が多いと思いますが、まずは、両科目にまたがる横断事項は無視して、理解よりも進行重視でできるだけ早く両科目の学習を一巡させることを優先させてください。
年金科目の大きな特徴の1つは、国年を理解する前提となる記述が厚年に、厚年を理解する前提となる記述が国年にあることです。ですので、両科目を一通り学習して初めて全体像が把握できます。
学習が二巡目、三巡目に入ってから、ようやく後追いで少しづつ理解が追い付いてきます。過去問(テキスト)の一巡目は複合論点のものや事例問題は後回しにして構いませんので、完璧主義にならず前へ進めましょう。
また、学習開始時期の遅い年金科目に強くなるためには、学習開始日から本試験日までに過去問数肢づつで良いですから毎日欠かさず学習を行うことが大切です。この習慣づけによって、独特の制度内容にも順応できる”年金頭”ができ、苦手意識も払拭されるはずです。
苦手な原因が食わず嫌いにあるということはよくあることです。食べる習慣をつけましょう。
年金科目の難しさの1つは、問題文を読んだ後に
・論点がどこにあるのか?
・どの単元から出題されたものなのか?
がわかりにくいところにあります。
だから、まずは内容がよくわからないまでもフレーズだけで誤りとして【切れる選択肢】を増やすことから出発しましょう。
テキストの精読は後からです。
年金の旧法や生年月日などで苦しんでいる方は、それらを論点とした最近年の出題がいつのものであるかを確認してみましょう。
今年60歳を迎える方は昭和何年生まれの方でしょうか?
現在の問題としてありうることが出題の中心になっていることに気づけば、かつてのトレンド問題の負担感を軽減できます。
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