出題数と科目の特徴
社会保険に関する一般常識(以下「社一」と呼びます)は選択式試験で1問、択一式試験で5問が出題されます。択一式における科目別最低基準点(4点)の判定は、労務管理その他の労働に関する一般常識(以下は「労一」)の5問と合わせた10問の得点で行われます。
出題内容ですが、択一式では法令分野からの出題が多く、ここでしっかりと得点を稼ぐことが合格基準点クリアのカギとなります。労一からの出題5問が、法令よりはむしろ統計資料や白書などからの出題に傾倒していて得点見込みが立ちづらいだけに、ここは大事です。
問題レベルとしては、一般常識科目であるだけに、単に知っているか知らないかを問うような単純なものが多く、問題文の長さもさほど長くはありません。また、この択一式で出題される科目は、労一のそれと比べてもある程度決まっていますので、過去問学習が有効です。
国民健康保険法、高齢者医療確保法、介護保険法、船員保険法、児童手当法、社会保険労務士法、確定給付企業年金法、確定拠出年金法。こうした科目を中心に、過去問を軸としてその周辺部分をテキストで他科目との比較を意識して押さえることを心掛けましょう。
特に、健康保険法や年金2法(国民年金法、厚生年金保険法)との関連においては、通則的な共通部分や制度の沿革などもよく出題されますので、既習科目の復習も兼ねて横断的な学習を進めていきましょう。
また、法令に改正が多い科目でもあります。医療・介護関連法としての国民健康保険法、高齢者医療確保法、介護保険法や、近年注目を集めている確定給付企業年金法、確定拠出年金法などでは、特に改正部分を中心とした複合問題としての出題にも注意が必要です。
白書と法改正部分以外はピンポイント学習で
選択式については、択一式で挙げた法令や社会保険制度の沿革からの出題の他に、やはり厚生労働白書を初めとした白書からの出題がポイントになります。厚生労働白書は、近年では平成27・28・30年度、令和3・5年度に出題されています。
この白書対策については、労一の統計資料・白書対策と同じく、資格スクールの直前対策講座などを利用するのが1番だと思います(この時期の具体的な学習方法などについては別の項で説明します)。
また、各法律の目的条文や総則部分を並べて出題する問題も見られます(平成27・29年度、令和3年度)。目的条文が重要であることは他の科目においても同じなのですが、今後の社一におきましても、まだ選択式で未出題のものに注意して学習を進める必要があります。
一般常識科目については、種々の法令・分野から出題が為されることから、テキストの内容もそうした出題内容を踏まえて記述が断片的になっています。例えば、国民健康保険法や高齢者医療確保法について書かれているテキストのページ数と、健康保険法のそれとを比較してみてください。
同じ医療保険の法律として同等のボリュームを持った科目であるにも関わらず、前者のそれは、過去問出題部分を中心として後者との違いの部分に特化した記述に留まっています。船員保険法も然りです。
この辺りが一般常識科目の特徴です。従って、学習を進める際には法令の体系的な理解を図ろうとする必要はありません。雑学やクイズのようなピンポイント学習、これを心掛けるようにしてください。
「このフレーズがきたらこう」
というパターンを、広範で雑多な事項の中からかき集めて、それに即座に反応できるようになる訓練を積むだけです。
ある意味で最も受験的な科目が社一の法令部分だと言えます。
例えば、後期高齢者医療給付が出題された場合です。
直接的に学習していない内容を、健保で学習したことと同様と考えて解答するか?
その判断が誤りとなる場合もあるでしょうが、全てを学習できない以上はこうした割り切りも必要です。
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