資格を取得しようとする理由は自由だけれども…
「次の本試験の日までにはまだ相当に時間があるので、他の資格を受けてみます。」
ある年の試験に不合格となった社労士受験生にはこうした方が非常に多いです。
同じ年の別の時期に、別の試験の学習に取り組むこと。社労士資格は士業の資格ですが、将来の職業選択のためというよりはむしろ、自らのスキルアップのために保有したいと考える方の多い資格です。
試験合格がそのまま職業の選択に直結しないものである場合は、他の資格との併願は自然なことです。有意義な資格を保有すること自体が目的である場合には、あの資格もこの資格も取りたいし、社労士「も」取りたいと考えることは否定されるべきことでありません。
資格取得の目的は人それぞれですから、資格の保有のみを目的とする社労士受験があっても良いわけです。
しかし、試験に合格できないからと他の資格も追い求めつつ、社労士試験に何年も合格できないでいるという場合はどうでしょうか?
合格できないことが悩みとなっているならば、少なくともその方にとっての他資格の受験は全くプラスになっていません。
私には他の資格を併願する余裕がなかった
Chapter 2の「序(当サイト管理人の受験経歴)」に詳しく書いていますが、私は2度目の受験で社労士試験に合格しています。
受験を思い立ったのは1月中頃で、そこからの約7か月強の学習期間を経て最初の試験に臨んでいます。全く試験をナメていませんでしたが、資格スクールの講義をこなすだけで精一杯となって、知識が全く未整理のままで試験日を迎えてしまいました。
結果は大惨敗です。受験直後に感じたことは、やるべきことが多すぎて時間が全然足りないということでした。
時間がないと感じていたわけですから、当然に合格するまでに他の資格にもチャレンジするなどとは考えもしませんでした。2度目の試験に向けては、資格スクールの講義に合わせて10月上旬から学習を再開しています。
開業や職業選択が目的であれ、資格の保有が目的であれ、合格という結果に拘るならば、途中で他の資格の学習をしている余裕があるかどうかを最初に考えてください。
あなたにとっての社労士資格の位置付けは?
社労士試験という試験は、実際の難易度と受験生が考える難易度との間に大きなギャップがある場合が多いです。合格に必要とされる学習の態様と、受験生個人のそれが釣り合っていません。
あの資格「も」欲しいと併願受験する資格の中に、弁護士が入ることがなくても社労士が入ることが多いのはなぜでしょうか?それは、弁護士は受かりそうだとは思えないけれども、社労士ならば受かりそうだと考えるからです。
しかし、そう考えたものの社労士試験に何年も合格できていないという場合は、試験への認識不足による見込み違いがあるのです。受験生に最も多い不合格要因は、合格に必要とされる努力量に達していないことで、そこには学習の動き出しが遅いということがあります。
時間に余程の余裕のある方や能力の高い方を除いて、他の資格の受験は社労士試験の合格後に行った方が賢明です。たとえ、社労士試験の学習範囲と重なる部分の多い資格であったとしてもです。
次の試験までに時間があるからと他の資格に意識を向けたくなった場合は、あなたにとっての社労士資格の位置付けをもう1度考え直してみてください。
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