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合格基準点の引き下げが行われる基準

このChapterの「合格基準点から探る試験の難易度」で述べましたが、社労士試験には選択式と択一式の各試験に総得点と各科目の合格基準点が定められています。

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これらの合格基準点は各年度の試験問題で難易度の差が生じることから補正が行われますが、その方法や基準については長年公表されていませんでした。現在では「社会保険労務士試験の合格基準の考え方について」が報道発表されて、これが明らかになっています。

ここで、受験生及び受験に携わる者にとって注意を払うべき点は、各科目の最低点についての補正基準です。この部分を先の報道発表から抜粋すると、次の通りとなっています。


科目最低点の補正
各科目の合格基準点(選択式3点、択一式4点)以上の受験者の占める割合が5割に満たない場合は、合格基準点を引き下げ補正する。
ただし、次の場合は、試験の水準維持を考慮し、原則として引き下げを行わないこととする。
ⅰ) 引き下げ補正した合格基準点以上の受験者の占める割合が7割以上の場合
ⅱ) 引き下げ補正した合格基準点が、選択式で0点、択一式で2点以下となる場合

特にこのⅰ)の基準が、時として対策困難な問題が突如出題される選択式試験の労一(労務管理その他の労働に関する一般常識)の合格基準点に大きく影響を与えるものとなります。


労一選択式での合否を左右する補正ルール

この補正基準によると、仮に労一の選択式試験(5点満点)で難問が出題されて受験者の得点分布が0点~2点の累計で5割を超えることとなった場合に、原則としては合格基準点を3点から2点に引き下げるという措置が取られます。

しかし、問題はこのときの0点と1点の得点者の分布状況です。この累計が3割に満たない場合にはこの引き下げを行わないということがルールとなっています。つまり、難問が出題された場合であっても2点を取れる方が多くなれば、合格基準点は3点のままということになります。


選択式試験における得点分布と合格基準点


社労士試験では毎年、総得点では選択式、択一式共に合格基準点を満たしているものの、労一の選択式で基準点を満たせず不合格になるという方が多くいらっしゃいます。

これは労一の得点が2点という結果に終わった後に、合格基準点の引き下げがこの科目で行われなかっということが、理由として大きなものとなっています。

つまり、総得点で合格基準点を満たすような実力者が2点の結果に終わるような難問が出題された場合であっても、0点~1点の得点者は3割を超えるほどには多くないということです。これは一体どういうことなのでしょうか?

選択式試験が始まった平成12年度から令和5年度までの24回の試験で、労一の選択式で合格基準点の引き下げが行われたのは、平成15年度と令和2年度、令和3年度(基準点は1点)の3回のみです。

ちなみに、社一(社会保険に関する一般常識)は9回です。また、この選択式での俗に言う‟救済“自体はほぼ毎年のように、しかも複数の科目で行われています。しかし、実力者でも得点が困難な労一でこの救済があまり行われていないのです。

このことが、この試験の合格を難しいものにしている1つの要因です。

なぜ難問が出題された場合にも2点以上の得点者が多くなるのかについては、引き続きの項で考えていきたいと思います。

 


140字の合格言不合格になった方は「次でもう○回目の受験だよ…」などという劣等感を持たないでください。
受験回数の少なさに価値を見い出すのは自分の中だけでの話です。
そもそも門外漢の方は資格試験の受験歴なんて気にもしません。
だから、劣等感は無用です。
しかし、今の悔しさだけは1年間忘れないでください。


140字の合格言不合格になった方は、今がどんなに苦しい状況だとしても、ここで継続して最後に合格すれば、それはただの一プロセスへと変わります。
苦しみは合格後にはなぜか美談へと昇華し、他者からの称賛や羨望を伴って受け止められるものとなるのです。
今はまだ自分だけの価値観の中にあるから苦しいのです。

 

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