大事なところに線を引くと、線だらけになる
小中高時代の学習を通じて私達に身についている習慣があります。それは、「大事なところに線を引いて」読むことです。
テキストにアンダーラインやマーカーを引いた経験は誰にでもあると思います。しかし、この習慣を社労士の受験テキストにそのまま持ち込むと、テキストは線だらけの非常に見にくいものになってしまいます。
なぜならば、受験用のテキストというのは、それがコンパクトな内容のものであるほど、大事なことしか書かれていないからです。
過去問情報のテキストへの一元化(参照:「テキストへの情報の一元化の方法㊤・㊦」)を行う場合も、古い年度の過去問まで遡るとテキストの殆どが線だらけになってしまいます。マーキングや書き込みに最も適したテキストは、資格スクールの講義などで利用されている科目別のA4サイズ大のものですが、これを用いた場合でもそのようになるでしょう。
テキストは、過去問を元に作成されているものだからです。
ましてや、全科目が1冊にまとまった市販のテキストでは、余白が少ないことから非常に繁雑なものになります。この場合は、「大事なところに線を引く」ことは行わない方が良いように思えます。
自分だけにとって重要な事項に対象を絞る
書き込みによってテキストが必要以上に繫雑なものになることを避けるには、重要度や頻出度とは違う観点からマーキングを行うのが良いです。
例えば、いわゆる1冊本を用いる場合には、
・自分が何度も間違ってしまう部分
にだけマークします。
このときは、本試験と模試で出題されたものだけを対象に、試験前の最後の1週間で完全に覚えるための下準備として模試が始まってからの時期に行います。既にマーキングや情報の集約化が行われた状態で販売されている多色カラー刷りのテキストには、それまではあえて何も書き込みません。
また、ここでのマークは、書き出し部分の記号(3. 、[重要]、 (1)などと書いてある部分)のみに留めると良いです。文字を書き加える場合は、見にくくなることを避けるために黒1色で書くのが良いでしょう。
テキストの体裁を気にすることは受験の本質ではありませんので、ここはマーカーの色使いや字の形・大小といった形式主義に陥らないようにしてください。(受験哲学編 Chapter 2 基礎学習期のマインドセット 「合格できない受験生の無自覚要因㊤」の類型2を参照)
学習到達度は、テキストへの書き込みの充実度に表れるわけではありません。
「作業」だけで学習した気にならないこと
テキストにマーキングを行うことが難しい場合は、別途サブノートを作成すれば良いという考え方もありましょうが、私はこれを推奨していません。
その理由は、かけた労力と時間に見合う成果が得られないからです。また、作成したものの網羅性の面からも、これは不完全なものとなる場合が多いです。
合格に必要な情報は自分でまとめるまでもなく、既に記されています。図解や表形式のまとめを加えたいならば、それを直接書いたり貼ったりするのではなく、テキストの該当箇所にそれが書かれている場所のページ数などをメモしておけばそれで良いのです。
マーキングや書き込みは学習の一手段に過ぎませんので、労苦を伴う作業だけで勉強したという気にならないように注意してください。
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